2026/10/09 10:22
「まだ、入ってこないかな。」
最近、そんなことを考える日が続いていました。
探していたのは、秋鮭の白子。
秋になれば手に入るだろう。
そう思っていたのですが、今年はなかなか見つかりませんでした。
秋鮭の不漁。
鮭そのものが少なければ、当然、白子も少なくなります。
仕入れ先を探して。
入荷情報を確認して。
見つけたと思ったら、もう売り切れている。
そんなことを繰り返していました。
その間にも、
「白子ジャーキー、まだですか?」
「楽しみにしています。」
という声をいただいていました。
つくりたい。
待ってくれている方もいる。
でも、素材がない。
こればかりは、どうにもなりません。
そして、ようやく白子が手に入ったとき。
嬉しかったのは、商品をつくれることだけではありませんでした。
「ああ、今年も秋が来たんだな。」
そんな気持ちにもなりました。
J’s Kitchenでは、いろいろな自然の素材を使ってごはんをつくっています。
山梨県産の鹿肉。
甲州地どり。
富士の介。
甲州ワイン鱒。
岩魚。
そして、そのときどきに出会う国産の魚や、季節の野菜。
いつも同じ素材が、同じように手に入るわけではありません。
魚は特にそうです。
昨日は立派な金目鯛があったのに、今日はない。
今日はいい甘鯛が入ったけれど、次に出会えるのはいつか分からない。
同じ魚でも、大きさが違う。
脂の乗り方も違う。
季節や水揚げの状況によって、出会える素材は変わります。
野菜も同じです。
春には春の。
夏には夏の。
秋には秋の。
その季節においしく育つものがあります。
もちろん、今は一年を通して手に入る野菜もたくさんあります。
それでも、旬の野菜が並び始めると、つい手が伸びます。
「これ、今おいしそうだね。」
そんなところから、新しいごはんが生まれることもあります。
お店をやっている以上、いつでも同じ商品をお届けできることは大切です。
気に入ってもらえたものを、また食べてもらいたい。
なくなったら、買い足してもらいたい。
その気持ちは、もちろんあります。
でも、自然の素材を使っていると、どうしても思いどおりにならないことがあります。
天候。
気温。
海の状況。
漁獲量。
農作物の育ち方。
私たちがどれだけ欲しいと思っても、自然の都合までは変えられません。
だからといって、無理に同じものをつくり続ける必要もないのかな、と思っています。
手に入らないときは、待つ。
別のいい素材に出会えたら、そちらを使ってみる。
そして、また季節が巡ってきたら、楽しみにしていた素材を迎える。
そんなごはんづくりがあってもいい。
考えてみると、私たち自身の食事もそうですよね。
春になると、山菜が食べたくなる。
夏には、みずみずしい野菜。
秋には、きのこや栗。
冬には、温かい煮込み料理。
一年中食べられるものもいいけれど、
「今年もこの季節が来たね。」
と思える食べ物には、また違う楽しさがあります。
犬たちのごはんにも、そんな季節の楽しみが少しあっていいと思っています。
いつものごはんを大切にしながら。
ときどき、旬の素材を少し加えてみる。
初めての魚を食べてみる。
久しぶりの香りに、ちょっと嬉しそうな顔をする。
もちろん、初めての素材は少しずつ。
無理に新しいものを食べる必要もありません。
でも、食べられるものが一つ増えたり、好きなものが見つかったり。
そんな小さな発見も、ごはんの楽しさの一つだと思います。
今回の秋鮭白子ジャーキーも、ようやくつくることができました。
ただ、次にいつ仕入れられるかは、まだ分かりません。
もしかしたら、またすぐにつくれるかもしれない。
しばらく待つことになるかもしれない。
そこは、今の私たちにも分かりません。
でも、それでいいのかもしれません。
季節の素材を使うということは、そういうことでもあるから。
いつでもあるもの。
今しか出会えないもの。
毎日の定番になるもの。
年に一度、楽しみに待つもの。
どちらにも、それぞれの良さがあります。
J’s Kitchenでは、これからもいろいろな素材に出会うと思います。
予定していたものが手に入らない日もあるでしょう。
反対に、思いがけず素晴らしい素材に出会う日もあるはずです。
そんなときは、
「これで何をつくろう。」
と考える。
そして、季節が巡ってくるのを楽しみに待つ。
急がずに。
無理をせずに。
そのとき出会えた素材を、大切に。
旬を待つことも、ごはんづくりの一部なのだと思います。
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