2026/09/16 10:43

ごはんを食べ終わったあと。

きれいになった器を見て、ちょっと嬉しくなることがあります。


もう何も入っていないのに、

ペロペロ。


念入りに、もう一周。

端の方まで確認して。

そして最後に、こちらを見る。


「もうないの?」

そんな顔をされると、作った側としては、かなり嬉しい。


私たちは、ごはんをつくるときにいろいろなことを考えます。


どんな素材を使おう。

どうやって下処理をしよう。

どのくらいの時間、火を入れよう。

どんな組み合わせにしよう。


栄養のことも考えます。

素材の特徴も調べます。


できるだけ余計なものを加えず、素材そのものを生かしてつくりたいとも思っています。


でも、どれだけいろいろ考えてつくっても、最後に食べるのは私たちではありません。


目の前に置かれたごはんを、

「食べたい。」

と思ってくれるかどうか。


そして、

「おいしい。」

と思って食べてくれるかどうか。


そこは、とても大切にしたいと思っています。


身体のことを考えて選んだ素材だから。

栄養があるから。

丁寧につくったから。


それだけで、食べてもらえるわけではありません。


香りを嗅いで。

ひと口食べて。

もうひと口。


そのまま食べ続けて。

気がつけば、器が空っぽになっている。


それを見ると、

「よかった。」

と思います。


イベントで試食をしているときも同じです。


小さなひと口を食べたあと、まだお皿を見ている。

もう何もないのに、匂いを確認している。

こちらを見て、

「次は?」

という顔をする。


言葉で感想を聞くことはできないけれど、そういう姿は、とても分かりやすい返事です。


もちろん、毎日必ず完食することが正解だとは思っていません。


その日の気分もあります。

運動量も違います。

暑い日もあれば、寒い日もある。

年齢によって食べる量が変わることもあります。


だから、残したからといって、

「おいしくなかったのかな。」

と、それだけで決める必要もないと思います。


食べる量も、食べるペースも、その日によって違っていい。


それでも。

夢中になって食べて。

最後まできれいに舐めて。

空っぽになった器の前で、満足そうな顔をしている。

そんな日は、やっぱり嬉しいものです。


J’s Kitchenでは、身体のことを考えながら、いろいろな素材を使っています。


鹿。

鶏。

魚。

野菜。

米麹。


それぞれの素材が持っているものを、できるだけ生かしてごはんにする。


でも、その先にあるのは、栄養成分の数字だけではありません。


袋を開けたときに近づいてくる。

器を置くのを待っている。

おいしそうに食べる。

そして、空っぽになる。


そこまで含めて、ごはんだと思っています。


身体にいいものを。

できるだけ丁寧につくったものを。


そして何より、

「また食べたい。」

と思ってもらえるものを。


そんなごはんをつくりたい。


今日も、空っぽ。


器の向こうから、

「もうないの?」

という顔で見られる。


私たちにとって、

空っぽは、ちょっと嬉しい景色です。


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