2026/06/26 08:00


ブロスを作る日は、

いつもより少し早く工房に入ります。



まずは骨の状態を確認するところから始まります。

鹿の背骨。

地どりのもみじ。

魚の頭やアラ。

どれも、そのまま鍋に入れるわけではありません。

血や汚れを落とし、

一つひとつ状態を確認しながら下処理を進めていきます。


地味な作業です。


正直に言えば、

時間も手間もかかります。

でも、この工程が仕上がりを大きく左右します。

だから省くことはできません。



その後。

湯通しを終えた素材を圧力鍋へ。

工房の中には少しずつ香りが広がり始めます。

骨を煮るというと、

強い匂いを想像されるかもしれません。



でも私たちの工房に広がるのは、

もっとやさしい香りです。

鹿なら鹿らしい旨味の香り。

地どりならどこか懐かしいスープの香り。

魚なら驚くほど澄んだ香り。

しっかり下処理をしているからこそ、

素材本来の良い香りだけが残ります。



最後。

圧力鍋の音が止まり、

ゆっくり冷まして、

濾して、

脂やアクを丁寧に取り除く。

派手な作業は何もありません。



ただ、

その時間をかけることでしか出せない味があります。



富士山麓の小さな工房で、

今日も静かに湯気が立ち上っています。

その湯気の向こう側で、

次の一本が出来上がっていきます。


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